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複合加工CNC旋盤

超かんたん、センターお宝紹介コーナーです。今回も当センター自慢の最新鋭工作機械を機械音痴の主婦がどなたにでもわかりやすくレポートします。さて、今回は複合加工CNC旋盤加工機です。

今回もまたかなり大型の機械です。この機械には「複合」という名前がついていますが、普通の旋盤加工機とどう違うのですか?


複合加工CNC旋盤
ヤマザキマザック(株) INTEGREX 100−VS
この機械は、旋盤加工機としても大変優れた性能を持っていますが、それだけではありません。ふつう丸いものは旋盤加工機で加工しますが、旋盤加工機ではちょうどロクロを使って陶器を作る様に、加工物を回しながら削るので、四角いものは加工できません。でもこの機械では四角いものをフライス盤加工(平面や溝などの加工)したり、ボール盤加工(穴あけ加工)したりできます。例えて言えば、大工さんが木材にカンナ掛けをしたり、キリで穴を開けたりする作業です。

ということは、「旋盤」という名前がついていても丸いもの以外でも加工できるのですか?

はい、この機械は工程集約機とも呼ばれており、いろいろな加工がこれ一台でできます。通常、加工にはいろいろな工程があり、多くはまず旋盤で丸くしてからフライス盤加工をします。これをそれぞれ別の機械でするとそのたびに取り付けをし直すことになり準備に時間がかかるのです。準備には意外に時間がかかるので、それを省けるということはかなり大きなメリットなのです。

一台で加工できるとその時間が節約されるわけですね。なるほど。極端ないい方をすると、お料理ロボットがあったとして、それに材料を入れ、作り方をプログラムしてボタンを押すと料理ができあがってくるというようなものですか?材料を洗ったり、包丁で切ったり、お鍋で煮たり、といったようないろいろなことをしなくてもすむような…

そんなものに近いかもしれませんね。いろいろな工程のものが一台でできるので、市場へ製品として出すまでの時間を短縮できます。ですから、少量多品種のものをタイムリーに製造するのに向いています。もっと身近な例では、洗濯から乾燥までやってくれる全自動洗濯機の様なものです。

(CIRCLE News第1号で紹介した)マシニングセンタも一台でいろいろな加工ができますが、違いはどこですか?

マシニングセンタで加工できるような加工はこの機械でもできます。逆にマシニングセンタで丸いものの加工をしようとすると、最初の丸い形にするところ、下準備は旋盤を使う必要があります。複合機ではこれ一台でできます。ただ、マシニングセンタは大きい加工機で小さい工作物も加工できますが、複合加工機では加工物の大きさによって機械の大きさも変える必要はあります。

複合機というのはかなり使われているのですか?

複合機としてではなくマシニングセンタとして使っているところも結構あり、今後4〜5年ぐらいでもっと使われるようになってくると思います。一種類の加工しかできないのではなく、いろんな加工機種を組み合わせることで、従来とは違う加工法、イノベーティブな加工ができるような機械なのです。

たとえば?


チタン角材を素材とした人工骨の加工
今までは形によって二つの部品を別々に加工し、それをひっつけて一つのものにするという方法を取っていたのが、一つのものから部品を一体化して作り出すことができるようになり、それによって強度が増したり、軽いものが作れたり、安価にできるようにもなりました。また、そういった新しい使い方も使う側の方からどんどん考え出されてきています。

使う側も使い方を考える機械ですね。ユニークな加工法も生まれてくるかもしれませんね。ところで、加工できる材料は金属だけですか?

金属以外では、プラスチックなどの合成樹脂、ドライカーボン、焼く前のセラミックなどができます。木を加工する人もおられますが。

この機械の特徴を生かしたものとして、どういったものが作られていますか?


シロウトの質問に辛抱強く
答えて頂いたヤマザキマザックの杉浦さん
例えば、今ベンチャーとして注目を集めているのが、人工骨です。こういった複雑な加工をする、そして個人個人にあうものを作るにはふさわしい機械です。またほかに携帯電話の部品、航空機部品などに使われています。

CNCというのは何のことですか?

数値制御製作型加工機(Computerized Numerical Control)のことで、数値データーで位置決めをして、ボールネジというネジの回転数で距離を測っているのです。たとえばネジが1回転したら何ミリ進む、何度回転したので何ミリ進むということが数値で出てきます。この精度はどんどんよくなっており、たとえば工場内の温度が上がっても加工精度に影響が出ないように機械自体を補正できるようになっています。

暑いと機械も参ってしまうんですね。生き物みたい。いろいろ教えていただきありがとうございました。

加工の様子

 

丸いものしか加工できないと思っていたら、何でも加工できると聞いて大変驚きました。また、従来は丸いものの加工と四角いものの加工は別々の機械でしか加工できず、意外に手間のかかることだったんだなと思いました。そしてそういった違った加工が一台でできるようになると、手間が省けるだけでなく二つの別々に加工した部品をひっつけて一つのものにしていた今までの加工から、最初から一体になったものを作り出す、といったように加工方法そのものまでも変わってくるんだなと感心しました。機械に使われるのではなく、私たちの頭を使って機械をうまく利用する方法も考えられる機械なんですね。常にいろんなものの見方をして新しい方法も見つけていくことの大切さを感じました。